東北旅行(2)

丈二

2012年04月30日 21:30



16時20分、気仙沼市役所前で下車した私は「復興商店街」を目指した。
この辺りは繁華街なのだが土台だけが残った空き地が目立つ。建物は残っても1階部分が
もぬけの殻になっている店も多い。
依然として冷たい雨が降り続く中、5分程で「南町紫市場(復興商店街)」に着いた。
気仙沼復興商店街の1棟

6棟のプレハブに50件の商店が軒を連ねている。半分近くは飲食店。鮮魚、菓子、衣料、雑貨、理容、美容、学習塾まである。ただこの時間帯は閉店の店が多い。
続いて「復興商店街」に向かうが、空腹で頭がボーッとしてきた。
5分程で「気仙沼横丁(復興屋台村)」(タイトル写真)に到着。ここも20件ほどプレハブ作りの店が並んでいる。
何か温かいものが食べたいと店を探したがどこも準備中。一番奥に暖簾の掛った店を見つけた。



ラーメン・餃子の「あたみ屋」。お客は誰もいない。愛想の良い女将さんが応対してくれた。
じきに三人連れのお客さんが入ってきたのでお話することはできなかったが、ようやく空腹を満たすことができた。
店内を見渡すと壁一面にサインや写真が飾ってある。俳優の渡辺謙や宇崎竜童も立ち寄っていた。
午後5時、屋台村を出て港へ向かうが雨は降り続き、足も痛くなってきたのでホテルに戻ることにした。しかしJR駅行のバスに乗り遅れ、仕方なくタクシーを捉まえて気仙沼駅へ。
今までに会った地元の人たちはみんな穏やかで温かかったが、運転手さんも物腰の柔らかな人だった。


1階部分が崩れ流された土蔵

駅のコインロッカーから荷物を取り出しキオスクを覗いていると私の肩をたたく人がいた。振り向くと一本松で知り合った女性だった。あれからヒッチハイクで陸前高田市街を見て回り、気仙沼駅まで送ってもらったとのこと。さすが達人だ。
17時50分、「ホテルパールシティ気仙沼」にチェックイン。風呂に入り、20時までテレビを見ながら体を休める。そしてホテルから歩いて1分の居酒屋街へ。とはいっても営業しているのは2件だけ。どちらにしようか?

居酒屋の定番・赤提灯と縄暖簾

縄のれんに赤ちょうちんという極めてオーソドックスなスタイルの店「はな」に決めた。
中に入ると元気のいい女将さんが迎えてくれた。先客は初老の紳士がひとり。
麦焼酎のお湯割りで温まる。女将さんが出してくれた“お通し”は盛りだくさん。キチジ(キンキ)の干物、やまかけ、筍&シーチキン、極細きんぴらごぼう、ポテトサラダでワンセット。

お通しセット

さほど空腹ではないのでこれだけおつまみがあれば充分だ。特にキチジの干物は絶品だった。
先客の紳士は宮崎からの一人旅だそうで、気仙沼に4日滞在しているという。車に自転車を積んで、滞在した東北の町々を自転車で散策しながら北上しているとのこと。デニムのジャケットにハンチングを被り(恰好いい)、年齢は70歳。夏は友達がいる北海道で働きながら3か月過ごすとのこと。悠々自適の人生で羨ましい。
焼酎をお代わりして、タラの芽の天ぷらをいただく。
女将さんや老紳士と大震災・原発のことも語り合った。
お客さんが二人入ってきた。名古屋からで復興関係の仕事をしているそうだ。
酔いも回ってきたので、私と老紳士は店を出ることにしたが何んと彼も同じホテルに宿泊しているとのこと。彼の傘に入れてもらいながらホテルへ。ロビーで名刺交換して別れた。
一人旅には沢山の出会いが待っている。

ー続くー

関連記事