記念すべき“荒井由実”のファーストアルバム
「ひこうき雲」
B面の冒頭を飾る。
この「ベルベット・イースター」を初めて聴いたのは大学時代。
TBSラジオの深夜番組「パック・イン・ミュージック(第二部)」。
DJの故・林義雄氏が「天才が出現しました。彼女の曲を初めてオンエアします・・・」とか何とか言ってレコードに針を落とした。
バロック調のピアノソロに続いてリズムサウンドが入り、彼女の声を聴いた瞬間、
全身に鳥肌が立った。
何んという声、何んという詩・・・
「 ベルベット・イースター 小雨の朝 光るしずく 窓にいっぱい
ベルベット・イースター むかえに来て まだ眠いけど ドアをたたいて
空がとってもひくい 天使が降りて来そうなほど
いちばん好きな季節 いつもとちがう日曜日なの 」
今まで聞いたことも無いような、心の奥に入ってくる声、詩。
その晩は興奮して眠れなかった。
当時若者の音楽といえば、吉田拓郎やかぐや姫が人気絶頂で、猫も杓子も
ギターを抱えて歌っていた、フォーク全盛のリアリズムの時代。
デビュー当時のユーミン。気負いの中にあどけなさが残る。
そこへピアノの弾き語りで、タイトなバックバンド(キャラメルママ)を従えて登場
し、夢や憧れを歌った荒井由実は一躍注目の的となった。
彼女と同時期に売り出し始めたアリスやオフコース、五輪真弓といったアーチスト達が人気を集め、マスコミは彼らのサウンドを、フォークソングに対してニューミュージックと呼んだ。
ユーミンはニューミュージックの旗手であり、現在に至るまでその地位をキープしている。
私はユーミンが荒井姓を名乗っていた初期の作品群がいちばん好きだ。
この「ひこうき雲」には、彼女自身最も好きな歌「雨の街を」が収録されている。
そしてセカンドアルバムの「ミスリム」。
「瞳をとじて」「やさしさに包まれたなら」「海を見ていた午後」「12月の雨」「魔法の鏡」など名曲がぎっしり詰っている。
さて、ユーミン・ベスト2.は
「ハロー・マイ・フレンド」。
「ハロー・マイフレンド」「春よ、来い」が収録された「THE DANCING SUN」
時は一気に22年過ぎゆき1994年。
最も脂の乗っていたアラフォー・ユーミンの第二期黄金時代ともいえるこの時期は、「Delite Slite Light KISS」「U-miz」「THE DANCING SUN」「KATHMANDU」などの傑作を次々と発表した。
私の好きな「ハローマイフレンド」は、NHKの連続ドラマの主題歌として大ヒットした「春よ、来い」に対して地味な印象を受けるが、聴けば聴くほど味のある切ない歌だ。
そしてユーミン・ベスト3.は
「誕生日おめでとう」
アルバム「Delite Slite Light KISS」のジャケット
88年に発表したアルバム「Delite Slite Light KISS」に収録されたこの曲。
冒頭の「リフレインが叫んでる」がヒットしたが、
透明感のあるサウンドに、ユーミンの温かみの有る歌声・・・。
隠れた名曲である。
さらに、つい3日前、彼女の35枚目のオリジナル・アルバム「そしてもう一度夢
見るだろう」が発売された。
女王は健在である。