映 画
「めがね」
↑ パンフレットの表紙
映画「めがね」を見た。
監督:荻上直子 (主要作品:「やっぱり猫が好き」「バーバー吉野」「かもめ食堂」)
出演:小林聡美(タエコ)、もたいまさこ(サクラ)、光石 研(ユージ)、市川実日子(ハルナ)、加瀬 亮(ヨモギ)、犬(コージ)
今年度の邦画ベストワンと言っていいだろう。
主人公タエコはケータイの通じないようなある南の島にやってきた。ユージの経営する民宿に泊まりながら都会で傷ついた心身をリフレッシュさせるために。
しかし主人のユージやそこに出入りするサクラやハルナとの生活に全く馴染めなかった。
そこへタエコを慕ってやってきたヨモギの姿を見て彼女の心は少しずつ変わりはじめていく・・・。
この映画には盛り上がりやクライマックスというようなストーリーらしきものが無い。
そこに生活する人達の日常が淡々と描かれ、時間だけがゆっくりと過ぎていく。
宿の前の海はひたすら青く、浜風は肌に心地よい。
サクラの作るカキ氷は絶品
主人公はタエコなのだが、この映画のキーパーソンはもたいまさこの演ずるサクラ。始めのうちは得体の知れないおばさん、という印象だがラスト近くでは彼女が神に見えてくる。
そしてキーワードは「たそがれる」。
「たそがれる」を辞書で引くと「盛りを過ぎて衰える」とあるが、この映画の中では全く違う意味で語られる。
何と言うか、心も体も自然に委ね、時間が過ぎていくのをしみじみと楽しむ・・・と言うか、そんな様なニュアンスの言葉。
皆でデカいイセエビを食べるシーン。思わずツバを飲み込んだ。
この作品は何故タイトルが「めがね」なのか?タエコとヨモギの関係は?サクラは誰なのか?などナゾだらけである。
映画にワクワクやドキドキ、笑いを求める人にはつまらない作品に見えるかもしれない。スキマ、余白だらけの印象を受けるだろう。
でも私にはこの「めがね」。一篇の俳句のように感じられた。
私もどこかの南の島で たそがれたい!(沖縄に決まってるね)
で、ぴーやし的評価は・・・★★★★☆
ちなみにロケ地は与論島。
与論島にもこんなに綺麗な海が広がっているのか